PEOPLE 阿川佐和子・森永卓郎のとことんNIPPONウオッチャー 080803


ゲスト:エビデンサー(証拠調査士) 平塚俊樹



トラブルが起こったときに、そのトラブルの専門家全員に
その人を助けてもらえるように人間関係を工作する仕事。


困ったときに法律相談所にいっても話を聞いてもらえない。
ほとんど相手にされない。
(離婚問題など、女性からの相談が多い)
弁護士の方から見るとそれが本当かどうか分からない。
けんもほろろにして帰ってくる。
それをまた弁護士の所に戻すのが仕事。


例えば、その女の人が毎日日記をつけていた。写真を毎日撮っていた。
まずはお医者さんのところに連れてく。神経内科とか、脳神経外科とか。
そこのお医者さんたちはどういう心の変化とか、どういう風に病んでるとか、
というのを法的に有効な証拠を作ってくれる。これが診断書。


法律の専門家に行く前の準備段階を整えてあげる。


阿川 要するに本番に行く前に指針を示してくださる。


本には書いてないんですけど、実はそのあともエビデンサーの仕事なんですね。
例えば、裁判所の裁判官に向けてどうやるかってのが。
裁判の法廷戦略なんですね。
弁護士さんは法律的に戦っています。僕らは違うんですよ。


日本弁護士連合会が公式に出した文書で、裁判官のアンケートをした文書があるんですね。
その文書を見ると、民事事件なんかほとんど書状は読めない、って書いてあるんですね。
それぐらい彼らは忙しいです。一人平均200件300件ぐらいの案件を抱えていて
しかも刑事事件のほうが重大な事件多いですから、
民事なんかほとんど見られないっていう公式な発表をしているんです。


ですから、どういう戦略とるのかっていうと、
その裁判官に書類を読んでもらえるように修正するんですね。
その読んでもらえるようにっていうのも、裁判官のOBになった弁護士の方とか
いらっしゃいますから、その人に直接聞きに行けばいいんですよ。
そうすると、やっぱり訴状は短い方が良い、簡略的に書いた方が良い。
証拠は各専門家。例えば、よく離婚とかに詳しい弁護士さんいますけど、
一番の専門家っていうのはお医者さんですね。
知的財産権とかそういうものに関しては、それを専門に研究している大学教授ですね。
そういう人たちの鑑定書をつけてくんですね。
そしたらこっちの方が全然強いですよね。
そういうのを段取りしていくわけです。




いま日本の弁護士さんは法人の仕事を取り逃しちゃってる。
なんでかって言うと、世界の経済に国境はない。日本は160分の1。
そこの国を相手に法律行為ができなければ、経済活動って成り立たない。
特にモノを売るのはアメリカとEU、中国が市場的にはすごく大きい。
そこに対して日本の弁護士さんは何もできない。
能力じゃなくて仕組み的に何もできない。
会社自身が法務部とか知的財産権を作って自分自身の方で飛び込んで行ってる。


中国や台湾の弁護士さんは逆にこっちに営業しに来ている。
ここでポイントなんですが、日本の弁護士さんは営業行為が禁止されている。
こっちから提案とかはできない。
営業行為をさせちゃうと法律で争いごとを仕掛けてくる世の中になっちゃいます。


私らは元々その160ヶ国以上の弁護士さんの集合体なんですね。
その人たちと本当に仲が良くて10年くらいお付き合いをしてて、
で、お金の支払いも友人の株式会社とか私の株式会社とかきっちりやってますし、
海外では本当に一般的な考え方なんですね。
向こうは向こうで、あぁやっとこういう人できたんだって言う話になって。




森永 平塚さんのお仕事は、何で他の人が参入してこないんですか?


日本人の感覚が抜けきれないんですよ。
日本と外国って全く法律が違うんですよ。
例えばアメリカだったら3つ法律がある。
連邦法、州法、コモン・ロー。しかもそのコモン・ローっていうのは、
裁判の判決とか一般常識の慣習が法律になっているんです。
毎日毎日変わってるんですよ。
で、もうこれは仕組み自体が違うじゃないですか。
この感覚についていけないんですよ。


日本の弁護士さんでアメリカの資格持ってる人もいますけど、
アメリカの法律書ひっぱってきてこれは何条だとかやっちゃうんですね。
これは間違ってる。こっちは毎日変わってる訳です。
そこにしか住んでる人法律は分からない。


実はこっちの方が世界では多いんですよ、今。


阿川 そうすると平塚さんは世界中の法律に精通していらっしゃるんですか?


私は精通しているわけではなく、世界中の法律家と仲が良い。


森永 有能な人ってね、自分で全部できるんじゃなくて、こういう問題があったとき誰に聞けばうまくいくのかってのが分かってる人。




森永 本の一番最初に出てくるんですけどすごい衝撃を受けたのは、交通事故で車にうしろからはねられちゃった女性がいて、そのはねられた女性がですよ、訴えたんじゃなくて訴えられちゃった。


はねられちゃった被害者というのは、すぐ病院に行っちゃいますよね。
しかも痛くて何もできないんですよね。
そのときに対応がなかったってことに向こうが仕立て上げちゃうんですね。
加害者の証言だけで話が進んじゃうんです。


阿川 一応サインとかなんか必要じゃないんですか?


必要じゃないですが、本人に連絡がつかなかったら警察だってやりようがないんですよね。


阿川 だって連絡はつくでしょう、調べれば。


そこまで税金使えるほど予算がないんですよ、警察の方にも。


阿川 警察も警察じゃないですか、それ。


いや、だからそこで誰かが言ってくれればいいんですよ。友達とか家族とか。
そういうの言わないとそういう風になっちゃうんですよ。


で、現場に突っ込んでったら証言者って居るんですよ。
事故を見ていた人って居るんですよ。
店の人なんか絶対でっかい音がしたら見たりするんですよ。
その話を聞いてこっちの方が本当だなってっていうの分かるんです。
ただその人たちもその瞬間を見てる人ってなかなか居ないんですよ。
だから証言できないんです。


で、その証言を元に法の番人に相談すればいいんですよ。
ここのこういう人に聞きました。
ただ、見たわけじゃないし変な争いごとに巻き込まれるのも嫌だから証言はされません。
ってそのまま事実を伝えればいいんです。
それが証拠になります。本当かどうかって決めるのは弁護士、検察官、裁判官。
その、法の万人が証拠って言えば証拠になるんです。


警察が何で捜さないかってのもあるんですけど、毎日毎日交通事故。
元気になって警察に訴えても民事に警察は不介入になっちゃう。



弁護士さんの仕組み的にも問題があるんですよ。
弁護士さんっていうのは事実確認をしないで弁護することが義務付けられてるんです。
普通だったら事実を確認してからやるもんです。
でも究極を考えると、弁護士さんってその人を助ける為の職業だから、
これを助けてくださいっていうことに対して疑っちゃいけない。
頼まれた仕事を成功を上手くこなせる人ほど優秀。
悪徳弁護士ってこっちがそう思っても、本人は思っていない。
だから正義感を表に出せない。




法律はみんなで変えていかなくてはならない。
日本人は「はっ?」ってなっちゃうけど、海外では一般的。
日本は国会議員の人に言っていくしかない。
国会議員の方々は家に帰ってないから家庭の問題なんか分からない。


慣習法で毎日少しずつ直していくのがいいかもしれない。
懲罰的賠償ってのも一緒に作って、これをやれば少しは良くなるでしょうね。


警察は税金を使っているから公の利益にならないことはやらない。
「私はどうでもいいんです、でもこいつは、いずれまた同じことをやるはずです。だから捕まえてください」
話を公に持っていけばいい。




(エビデンサーという職業について)


行政書士とか社会保険労務士とか資格とったけど
本当はできないじゃんって気がついてる人がいっぱい声かけてくれてて
いま一生懸命教育して6人くらいになりました。


阿川 よし、俺も証拠調査士になりたいぞ!っていう若い方はどうすればいいんですか?


私が本とかで活動してって民間団体とか作っていきますから、
そこで勉強してって欲しいです。


阿川 国家資格とかいるんですか?


いえ、資格にしてしまうと管轄官庁とかそういうとこから圧力がかかってしまうので資格にはしません。


阿川 じゃあ、フリーの立場でずっといられるわけですね。


倫理委員会を作りますから、お客さんからのクレームは僕らが処理して、エビデンサーは謝らないでください。


とにかく個人向けのこういうのをみんな知ってもらって世の中を良くしてもらいたいですね。
それぐらい今は悪い奴が得をする世の中になっちゃってますんで。




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(痴漢冤罪問題について)


阿川 アメリカで電車に乗って経験したことはですね、まずね、体が触れるほどの満員電車にしないの。朝のラッシュアワーもあるんですけども、バーっと人が入るでしょ。まだ乗れるのに、と思うのに乗らないんですよ。何してんのかと思ったら、これ以上乗るのはマナー違反だって言う。感覚的、人と。だからある意味では日本はすごく安全な国だから、べったり人と肌と体を付けあってもオッケーだったでしょ。っていうか平気だったでしょ。でもそれは彼らには耐えられないことだから、満員電車なのに全然満員電車にならない。

もう一つは、空いていようが空いていまいが、例えば、隣に立ったり座ったりしたときにパッと目を合わせて、ハーイって言うの。知らない人なのに。で、私はアメリカって本当に愛想のいい国だなって最初思ってたんですね。で、もちろんその愛想のいい意味もあるんだけれど、もう一つはやっぱりそれは自己防衛能力だと思うんですよ。隣に誰かきたときにハーイ、ハウアーユーって、例えばそのバンバンおしゃべりするほどじゃなくても、ハーイまで言うってことは、私はあなたの隣にいますよ、ってことを互いに確認し合いましたってことを言ってるんですよ。そうしとけば何かあったときに、あの人ねって。言えるでしょ。




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