ZAZEN BOYS向井秀徳の平成音楽史 (2)

TBSラジオワールド ZAZEN BOYS向井秀徳の平成音楽史 (1)の続き。

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えー、このレッド・ツェッペリンのアキレス・ラスト・スタンドという曲なんですけども
最初の3秒くらい、スローなイントロね。
これはちょっとできたんですけども、そっからこうジャンジャカジャンジャカ早くなっていく
これがね、難しかったですね。イントロだけで諦めました。コピー。
それでもうコピーをやめました。他人の曲をやるのはもう面倒臭いということで。
自分で、まだそんなにギター弾けないんですけども、独自のやり方で曲を作り始めたんですね。
宅録音ていうことをやりまして。
あの、家で。バンドを組もうにも話が合わないんですからね仲間がいないんです
一人で作曲してそれを録音して楽しむって事をやり始めたんです。
作曲はそのカセットデッキを二台使って、最初にギターを入れて、そのあとキーボード入れて
そのあと歌入れてコーラス入れてっていう、そのダビングをずっと重ねていくわけです。
するとその形が出来上がっていく。
これをやっていたんですけども、やりづらいのと、サウンドがどんどん劣化していって。
こう、こもってく。でその、勉強もせずに、ずっと曲をつく…楽しんでたんですけども。
文化祭でですね、演奏する機会がありまして。
まあ文化祭だとその友達同士でその、コピーバンドをやったりすることになるんですが
わたしはラップをやろうと思って、その文化祭の前日に徹夜で歌詞を考えて
ドラムマシンでこうバックのリズムを打ち込みまして、
DJ風の友達にスタートボタンを押してもらって、ドラムマシンの。
それに乗っけて「俺達はニュースクールのラップのチーム」とかいう
非常に…恥ずかしい、ラップを披露した思い出がありますね。高校時代に。
それでまあそういったことをやっておりまして、三年生になるとですね、
所謂大学受験というものが目の前に立ちはだかってくるわけですね。
その、わたくしはですね、音楽を趣味でやっておりましたけども、
そっちの道に進みたいとはまだそのときは思ってなかったんです。
映画に興味があったんですけども、それで映像仕事をしたい、ということで
そういった興味から映像系の学校、大学を受験しようと決めました。
で、受験するんですけどもね、全く勉強をしておりませんでしたからね、当然失敗しますね。
あの、マークシート試験でですね、丸を埋めてていくわけです。
あれをイメージでマークシートを埋めていったら受かるんじゃないかってぐらい思ってですね。
佐賀から、東京の大学だったんで新幹線に乗って受験しにきてですね
でもそのとき東京に受験しにきたときにですね、東京駅に着くぐらいのときに
わたくしがヘッドホンで聞いてたBGMがはっぴいえんどだったんですけども
すごくこう似合いましてですね、佐賀の田舎で聞くはっぴいえんど
東京で聞くはっぴいえんどの雰囲気ね。
これは東京の空気感によく合うなって思ったことを思い出しますわ。
それでまあ受験に失敗しながら卒業するんですけども、
そっから来年に向けて勉強するかという浪人生活をするかということにもならずにですね
全くそっからは勉強も大学も志さず、
バイトしながらだらだらとこう家で過ごす日々が続くわけですよ。
えー、その隣町の久留米でですね、バンドが演奏するバーがありまして
そこでバイトを始めました。
そこで知り合ったですね、まあ、女の子がおりまして、二十歳くらいの人でしたからね。
この人にわたしね、恋心を抱きましてね。ええ。それであえなく振られるんですけども。
そのね、失恋の痛手。若かりし頃の。これがね結構重く突き刺さりましたですね。
当時のわたし十九歳ぐらいでしたか。
このね、失恋の痛手が原動力になったかしらんがですね、
その頃はあまり作曲、宅録をあんまりしてなかったです、遠ざかってました。
その遠ざかっていた作曲を再び始めました。
あの、失恋の思いを自分なりに和らげるというかですね。
女々しい曲をいっぱい作りました。作りまくっていましたですね。一人で。佐賀で。
でそれをデモテープに録りましてですね、これをレコード会社に送りつけてたんですね。
デビュー。本気でデビューしたいと思ってましたよ。
もしかしたら音楽の道にいけるんじゃないかと。
甘っちょろい考えを抱いておったのが事実ですよ。
そのときですねその頃、洋楽、アメリカでですね、
マシュー・スウィートという人に出会いました。
この人はですね、やっぱり宅録出身のソロシンガーで、
ソロシンガーなんですけどもそのバンドサウンドなんですね。バックバンドがいまして。
ギタリストにテレヴィジョンっていうニューヨークパンクのリチャード・ロイドとか
あと、ヴォイドイズっていうバンドのロバート・クワイン
そういったこう尖りに尖ったパンクミュージシャンがそのバックを演奏してたんですけども
そのマシュー・スウィートの。で非常にこのスタイルがかっこいいと思いまして。
またこれがマシュー・スウィートが女々しい曲ばっかり歌ってたんですよ。
曲はかっこいいんですけどね、尖ってて。
で、少なからず共感を覚えましてですね、わたくしはですね。
この一人でやっててバックバンドがすごいバンドサウンド
影響されまして俺もこれでいこうと、こんな感じでやろうと思うに至ったです。
でそのマシュー・スウィート、ガールフレンドこれ聞いてください。

Girlfriend
Matthew Sweet / Girlfriend

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Marquee Moon

Television / Marquee Moon
タイトル曲がZAZEN BOYSのライブSEで使われていたはず。


Blank Generation
Richard Hell & the Voidoids / Blank Generation


風街ろまん
はっぴいえんど / 風街ろまん